組合における自主と民主
先程労組法において、自主性と民主性の要件が求められているお話はしましたが、このうち自主性の要件は、労働組合が使用者に対して自主的・独立的な地位を確保するために必要とされる要件です。労働組合が使用者とべったり仲が良いのであれば、組合として機能しませんし当然といえば当然要求される事柄なのかもしれません。
労組法2条但書には、本文にある「自主的に」という規定に加え、1号では使用者の権利代表が加入していないこと、2号では使用者から経費援助を受けていないことを求めています。少しこの内容を詳しく見ていきますと、ここでいる使用者の権利代表というのは取締役や監査役といった役員や人事権を持っている管理監督者はもちろん、その他職務の性格上労働組合委員人事・労務に関する下位の職制を含むとされています。
もう一の経費援助についてですが、組合専従者のための賃金の支払いや特別な組合活動費の支給を禁止する旨の規定となっています。その一方で経費援助に害としない例としては、勤務時間中に有給をとって使用者と交渉を行うことや必要最小限の組合事務所を貸与することなどが挙げられます。他にも使用者がチェック・オフをするような場合や就業時間中に組合活動に対して賃金を控除しないことなども経費援助には当たらないと判断されています。
もう一つの民主性の要件ですが、組合規約への記載を通じて、組合員の平等と参加権を確保することを目的として課されている要件です。労働組合の規約に記載する事項というのは、名称や主たる事務所の所在地などをはじめ、組合員の均等待遇の原則、役員選挙やストライキ投票における直接無記名投票の原則などです。労働組合には、構成員の権利・利益を擁護するために法律によってさまざまな保護が与えられています。そのため、労働組合には実体的に民主主義がきちんと確保されている必要があるのです。
この民主性の要件を満たさないような場合ですが、規約不備組合と呼ばれており、労組法5条1項による手続参与と救済を受ける資格はないということになります。注意してほしいのは、民主性の要件を満たしていないと労組法上の権利が認められないということを意味しているのではないということです。自主性の要件を満たしているのであれば、協約能力などのその他の労組法上の権利は認められますので、労働組合としての権利が全く認められないわけではありません。