労働契約での使用者
労契法上の使用者の定義は労契法2条2項において、その使用する労働者に対して賃金を支払う者と定義されています。そして労働契約上の使用者は、労働契約の主体となる者で、賃金支払い義務などの契約上の義務を負うものとされていますので、使用者は労働契約の一方当時者というのが原則となります。しかしあくまで原則であり、判例では2つの倍において使用者の範囲を拡大して解釈しています。
まず1つ目ですが、社外労働者と受入会社での場面となります。社外労働者と受入会社との間に労働遂行に関する指揮命令服従関係があって、社外労働者の所属する会社が企業としての実態がない場合か、受入会社の労務管理の代行機関にすぎなくなっているような場合には、社外労働者は受入会社に労働契約上の地位確認の請求をすることができるとなっています。このような場合には、黙示の労働契約が社外労働者と受入会社との間に成立していると判断して、労働契約上の使用者とみなすのです。
もう一つは、親会社と子会社との関係です。親会社が子会社の株式を相当部分保有しているような状態で、その役員や管理職を派遣するなどして企業活動のすべての面において子会社が実質的に親会社の一事業部門にすぎなくなっているような状況だった場合に親会社が子会社の労働組合を壊滅する目的で子会社を解散させますと、子会社の労働者は親会社に対して労働契約上の地位を確認することができます。どちらも実際に裁判で争われたのですが、社外労働者と受入会社の場合も親会社と子会社の場合でも実際に労働契約を結んでいない相手との争いですが、会社の実態から使用者の範囲を拡張して認めているのです。